柳井正社長:「一勝九敗」から成功者の思考を探る

経営の追体験

 父のそんな姿を見ながら、生活のすべてを賭けるような日々が商売だとすると、ぼくにはぜんぜん向いていないな、とずっと思っていた。

しかし、その洋服屋の後を継ぎ、さらにその延長線上にあるユニクロへのなりゆきと父の生涯とは、今更ながら不思議な因縁があると感じざるをえない。

今や世界に名だたるグローバルカンパニーに成長し、個人資産額でも日本で一位になっている「柳井正」さん。

そんな柳井社長が、2003年にユニクロのこれまでの軌跡をまとめた著書「一勝九敗」の冒頭で語った言葉です。

一勝九敗 [ 柳井正 ]

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感想(48件)


あれだけの企業を作り上げたのだから、幼い頃からスーパーマンだったのだろうと考える僕の期待を裏切り、学生時代はマイペースで生きてきたことが、本書からわかります。

  • できれば就職したくないと思っていた大学生時代。
  • 親のツテでジャスコに就職するも、一年足らずで退職する。
  • しばらくふらふらした後、観念して親の商売を継ぐ。
  • 従業員が皆辞めてしまい、すべてを自分で回さないといけなくなってしまう。

世にはびこるベンチャー物語とは対称的な、泥臭い「商売」の内情・現実を、柳井社長は語ります。

しかしそんな日々が続いていく中で、少しずつ商売の楽しさを知り、世界を知り、自分はもっと活躍できるはずだと知る。

商売人から脱却し、経営者になることを決意した柳井正さんが、自分の会社を上場させ、グローバルカンパニーへの道を歩み始める。

本書は、そんな壮大な目標を達成するための「思考プロセス」を追体験することができる一冊です。

本記事では、柳井社長の思考の中から、これは常人とは違うと思われる所をあなたに紹介したいと思います。

偉人の思考はここが違う!

その1.国内だけでなく、世界を含めて自分達の立ち位置を知る

商売の始めは、父親から受け継いだ紳士服店を経営していた柳井社長。

しかし、アメリカの大学生協に立ち寄った際に見た、本屋やレコード屋のようにセルフサービスかつ手抜きと思われない「お客様の要望としてのセルフサービス店」を考案します。

日本では小売が服の値段を決めることすら一般的ではなかった時代に、それを当たり前だと思わず、アメリカの「リミテッド」や「ギャップ」と日本を比較し、自分も新しい商売を始めることを試みるのですね。

また、1980年代後半に、香港へ小売店の視察に行き「ジョルダーノ」創業者ジミー・ライに直接会いに行きます。世界規模の行動力です。

そして、「この人にできて、僕にできないはずがない」と確信するのですね。

常に、「日本は~~だから」ではなく、世界と自分を比較している印象を受けます。

しかし、だからこそ日本国内でありえないほどの成長を遂げたのですね。

「考えていないことは起こらない。」

常に世界の中での自分の位置を考え続けたからこそ、今日のユニクロの成功があるのです。

その2.成功の中には、大量の失敗が隠れている。それが当たり前だと思う。

ユニクロが成功しているか、失敗しているかと問われると、成功していると答えが返ってくるでしょう。

しかし、その成功の中には無数の試行錯誤と失敗が混じっています。

NYのデザイン子会社での連携不足による失敗。

スポーツウェア専門のスポクロ、ファミリーのファミクロの失敗。

テレビCMでのクレーム殺到。など。

大量の失敗を経験してきた柳井社長ですが、柳井社長には失敗に対しても哲学があります。

以下、抜粋します。

失敗は誰にとっても嫌なものだ。目の前につきつけられる結果から目を逸らし、あるいは蓋をして葬り去りたい気持ちにもなるだろう。

しかし、蓋をしたら最後、必ず同じ種類の失敗を繰り返すことになる。失敗は単なる傷ではない。失敗には次につながる成功の芽が潜んでいるものだ。

したがって、実行しながら考えて、修正していけばよい。

危機につながるような致命的な失敗は絶対にしてはならないが、実行して失敗するのは、実行もせず、分析ばかりしてグズグズしているよりよほどよい。

失敗の経験は身につく学習効果として財産となる。

問題は、失敗と判断したときに「すぐに撤退」できるかどうかだ。

儲からないと判断したら、その事業を継続すべきでないのは誰にでも理解できるはず。

撤退もスピードが大事である。

短期間のうちに撤退後の方針を決め、人員の再配置を決める。

だらだらしていたらその分、損が膨らんでいくばかりだ。

失敗に学ぶことと、リカバリーのスピード。これが何より大切である。~P83より抜粋。

以上です。

商売はやってみないとわからないことも多い。

そんな世界で大事なのは、

  • 失敗しないことではなく、失敗から学ぶこと。
  • 致命的な失敗がないように気をつけること。
  • 失敗からの素早いリカバリー。

であり、それを念頭に置いた上での

  • 大量行動

なんですね。

失敗は、その価値が実現されていない将来の財産なんです。

その3.経営理念は二十三条

ユニクロが商売から、経営に変わる転換期において、様々な従業員が入社してきました。

その従業員達には様々なバックグラウンドがありますので、皆自分達にとって都合の良いように仕事を始めます。

仕事の進め方だけではなく、考え方だってバラバラです。

「どういう会社にしたいのか」

「どういう人たちと一緒に仕事をしたいのか」

それを明確に示さないと、根本的な価値観のズレが生まれ、同じ目標に向かうことができないと考える柳井社長は、経営理念をずっと更新してきました。

ある時、その経営理念を5つか6つぐらいにまとめたほうが良いと助言を受けるのですが、柳井社長は断固拒否します。

一言二言で経営の何たるかを表現することなど不可能だ!

柳井社長の理念のすべてを、丁寧な言葉で書き綴り、時間がかかってもかまわないので従業員に浸透させる。

店長が主役だという柳井さんだからこそ、従業員一人ひとりに理念を共有してもらいたいのですね。

僕がこの話を聞いた時、マーケティングのイメージ広告とレスポンス広告の話を思い出していました。

イメージ広告は企業のイメージを作るための広告。顧客からの反応を取って行動に移してもらうのがレスポンス広告。

かっこよさを追求するのがイメージ広告であり、商品を理解してもらって購買行動に移してもらうのがレスポンス広告。

そして、経営理念というのは体裁を気にしたカッコつけのイメージではなく、社員全体に会社を理解してもらうためのレスポンスなのです。

経営理念が一般的にどういう体裁になっているものなのか?なんていう話は、どうでもよい話なのです。

その4.不安定の中の革新に安定あり!

柳井社長の他の著書を見ても分かると思うのですが、この人の心の根っこには「変わらなければ死ぬ」というぐらい凄まじい「安定を拒否する思考」があります。

管理職が、「自分で仕事をやるよりも、部下や他人にやらせることが管理職の仕事」だと認識し始めると、お客様との距離が遠くなり、やがてお客様のことが二の次になってしまい、最終的に管理志向な組織になってしまうことを危惧しているのですね。

僕にはそんな会社で働いた経験があります。

国内最大手の電機メーカーの協力会社の社員として入社したのですが、そこでは「管理職が管理するための組織作り」になっていて、組織には何の問題も起こりませんでした。

管理職にとっては、たいへん都合の良い組織でしょう。

しかし、一人ひとりが正論を吐いているようにみえるその組織は、大赤字をぶっこいていました。それなのに、会社には何の問題も発生しなかったのです。

社員に危機感すらありません。

問題すら起こらない管理型組織が最も性質が悪い組織なんだろうなぁと考える僕にとって、柳井社長の安定を恐れる考え方は大変共感できました。

 

その5.商売の基本はスピードと実行

「スピード」こそ、商売や経営に欠くべからざる大事な要素だ。

それは社名にFASTとして現れている。(ファーストリテイリングのこと)

柳井社長はそう断言します。

頭のいいと言われる人間に限って、計画や勉強ばかり熱心で、結局何も実行しない。

商売や経営で本当に成功しようと思えば、失敗しても実行する。

また、めげずに実行する。これ以外にない。

そう言い切ります。

僕の心にぐさりと刺さった一言です。

僕は去年から情報ビジネスをはじめていますが、それだけで食べていけるほど成功はしていません。(黒字か赤字かと問われれば、それは当然黒字ですが)

そして自分に足りないものは何かを探すために、また情報を漁る日々が続いていましたが、とうとう結論に達しました。

情報を漁り物事を分析する僕の習慣こそ、諸悪の根源であり、僕がやらなければいけなかったのは、スピード感を持って、情報を大量に発信しまくることだったのです。

柳井社長。ありがとうございます。

僕は経営のことを何もわかっていなかったです。

僕はこれから、どんどん情報を発信していきます。スピード感を持って。

また、この文章を書いている今、こんな名言を思い出しました。

成功の程度を測る尺度は、どんなに難しい問題を解決したかではない。

去年と同じ問題が、今年もまた持ち上がっていないかどうかである。

出典は忘れました(笑)

…。そう。今年の年末に去年と同じことを話していないような、スピード感のある人生を送ろう!

まとめ

偉人の書いた本は、20代前半の頃から少しずつ読んでいたものなのですが、「偉人の思考プロセスを探る」という明確なテーマを持って読書をするのは、僕にとって初めての試みでした。

漠然と経営者の話を聞いて「へ~、ためになるなぁ」と思うくらいではためにはなりません。

明確にこの人から何かを得てやると考えたからこそ、今回上記で示したような、柳井社長の思考を人生の糧にすることができました。

貴重な時間を割いて本書を執筆し、貴重なお知恵を与えてくださいました柳井社長に、ただただ感謝です!

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